千葉県柏市内の学校にて、授業収録・配信の授業実証実験。

株式会社未来研究所(本社:神奈川県伊勢原市、代表取締役社長 小林忍)は、株式会社アイ・オー・データ機器(本社:石川県金沢市、代表取締役会長兼社長 細野昭雄)との協業により、授業収録・配信の実証実験を、柏市内学校の3校にておこないました。

本実証実験の現場での授業収録・構成図

今回、構築した収録機材構成図を示します。

広報担当: ミライちゃん

収録情報(補足版)

※収録機材メインキットは、黒板を背にした先生机の横に配置します。多くの学校の場合、LANの情報コンセントも黒板の壁側に設置されています。従って、LANケーブルも5m程度の長さで大丈夫です。
また、GV-LSBOX/Bの「収録映像切り替えボタン」で、授業スタイルに応じて切り替えを行います。このため、先生の手元にGV-LSBOX/Bがあった方が便利です。

※教室の後ろ側に学校所有のホームビデオを設置して、授業の全体像を収録します。どの学校にも、ホームビデオが1-2台は準備されています。従って今回も、学校所有のホームビデオを活用しました。

この場合では、ホームビデオとGV-LSBOX/BをHDMIケーブルでつなぐ必要があります。場所によっては、20mのHDMIケーブルでも長さが不足します。このた
め、映像データを無線で飛ばしました。ここでは、WHD-FTR1を活用しています

※多くの授業でグループワーク形式が採用されています。
「各グループでの検討模様も収録したい」との要望を受けて、持ち運び可能なカメラが必要となりました。
このため、学校に配備されていてた「AppleTV(無線AP)」と「iPad(動画配信機)」を併用して、生き生きしたグループワークの収録に成功しました。

※iPad側は、画面ミラーリング機能を使って配信しました。この際、「iPadのOSが古い」や「ハードウェアVersionが古い」などの理由により、「映像データは飛ぶのに、音声が飛ばない」現象が発生します。特にOSバージョンはできる限り最新化が必要です。
(なお当日は、iPadから無音声で収録しました。主マイクは、ホームビデオからの音声で十分です)。

給食配膳ラックが収録機器ラックに早変わり!

収録データの格納について

今回は、GV-LSBOX/Bに直接接続した外付けUSB対応SSD(外付けハードディスク)を使用しました。各学校で使用している「GoogleEducation」側に収録データを格納する方法もあります。しかし、収録が進むと上限使用容量の15Gバイトにすぐに達するため、ローカル側での格納にしました。

本来的には、本実証実験の収録対象も様々な学年や教室で行われます。従って、NAS(Network Attached Storage)をネットワーク上に置いて、収録データの一括管理が望ましいです。今回は、やんごとなき理由によりパスいたしてしまいました……。

本実証実験を通して分かったこと

  • 授業収録の意味合い
    コロナ禍での授業実施をするにあたり、在宅や欠席した生徒・児童さん向けの授業収録・配信の必要がでてきました。コロナ禍が明けた現在では、欠席された生徒・児童さんに向けて復習としての意味合いだけでなく、「先生自身の授業スタイル確認」として活用したいとの需要が見えてきました。
  • YouTubeでの授業配信
    先生方は、常日頃から「どう授業をすれば、生徒が楽しく学んでくれるのか?」と考え続けています。そのため、有名な先生の授業を拝聴したいと切望されています。この要望を具現化するのが「YouTube配信」です。先生の「授業品質向上に対する、熱い思い」を痛感いたしました。
    YouTubeには、「リアルタイム収録にてデータを配信するモード」と「収録データを取っておいて、後日配信をセットする」2種類の手法があります。実際の現場では、「リアルタイム配信での自動収録」が必須となっています。
  • 殆どの先生方が授業収録を希望されていました。「近い将来、全教室での収録機材の整備を検討すべき」と確信いたしました。

本実証実験を通しての課題

  • 今回の収録では、全授業で全ての生徒が個人持ちタブレットを活用し、自分が担当した課題をこなしていく学習スタイルでした。このため、生徒一人一人が快適なインターネットを使うための通信帯域を必要としています。
    この方法では、学内LAN帯域、学校WAN帯域(キャリアとの契約帯域)の不足により、生徒のタブレットが起動できない状況が発生する可能性が安易に想定できます。今回の学校群は、各学年が1クラスしかなく全校生徒も少ない環境での実証実験でした。従って、上記の問題は発生しませんでした。
    しかし、私たちが知ってる中には「300Mbpsベストエフォート」で接続を余儀なくされている学校も散見しています。学校WAN環境は、各市町村にて異なります。しかし、帯域が細ければ明らかに授業運営に影響がでます。

    弊社では次年度に向け、これらの定量的帯域データの測定を実施したいと考えております。弊社「Edge-BOX」では各種通信状況測定モニターツール・Wiresharkを搭載したリモートBOXもサポートしています。帯域測定をさせていただける学校さんを募集しております
  • YouTubeでの肖像権の課題
    リアルタイム配信では、どうしても顔を出したくない生徒・保護者さんがいらっしゃいます。またYouTubeでの限定配信にしても、収録対象者の方の顔出し合意を事前に取得しておく必要があります。 弊社では各種覚書を準備して、肖像権等に対応いたします。カメラシステムで、顔出しNGの生徒さんの顔にモザイクを自動的に掛けるソリューションを探しております。未だ実現できるシステムは見つかっておりません。
  • 授業収録時の体制
    今回は実証実験として、収録を制御する人材を1名配置しました。実際のケースでは、手が空いているICT支援員さん、もしくは教頭先生がその担当をします。収録制御として、「GV-LSBOX/Bの収録映像のリソース(注1)切り替え作業」が発生します。弊社では、これらの一連作業のセミナーも開催しております。お気軽に、声がけをお願いします。

      ※注1:「映像リソース」とは?以下の動画・映像ソースを指します。
      1.先生のPC/プロジェクター映像
      2.教室後ろに配置されたホームビデオ
      3.グループワーク時の各グループ討議の無線カメラ(iPadで代用)
  • 弊社では、特に先生方に対する教育の必要性を感じました。IT機器に慣れたICT支援員さんは、収録機材設定セミナーを受講していただければ容易に習得が可能です。しかし、先生の場合、IT機器に不慣れな方も多くいらっしゃいます。
    特にNASの使い方については、その傾向が顕著に現れている様です。この辺りの改善も必要となるでしょう。

本実証実験を通しての所感

今回、柏市内の学校の多大なご協力の下、実証実験を行う事ができました。深く御礼申し上げます。このプロジェクトを通じて、「授業の品質向上を目的とした授業収録」に対して必要性を痛感しました。一方、多くの学校では、授業開始に生徒の一斉タブレット使用ができません。
これは、WAN側の帯域が狭いためです。学内LAN側で可能な施策にも限界があります。県下・市町村下で学校群にて使用されるWAN帯域の再設計はもちろん、学内LAN構築も考慮した総合的な教育ネットワーク設計が必要です。

弊社もより一層、「GIGAスクール構想」の具現化に向けた活動を進めます。御要望等、御座いましたらお気軽にお声がけをください。

【校内配信キット】について

弊社では、㈱IOデータ機器さまのご協力の下、GIGAスク対応の学校授業収録キットを、どこよりも低価格にて御購入していただけるサービスを提供させていただく予定です。 もう、少々、お待ちいただけます様、お願い申し上げます。